2008年1月アーカイブ

「債務」とは、クレジットやローンなどによる借金のことです。「多重債務」というのは、一人の消費者がクレジットカード会社などさまざまなところから借金をしている状態のことをいい、一人であちこちの金融機関から同時に借り入れを行なっている人のことは「多重債務者」と呼びます。近年問題となっているのは、返済不能になるほど借入金の合計金額が膨れあがってしまった状態の人です。多重債務から自己破産へと進む件数も急増しています。

破産法というものが最初に作られた当初は、破産という行為そのものが反社会なものであるという思想を含んでいたものですが、その後1952年に行なわれた法改正で免責制度が追加になり、借金を負った債務者を救済することを目的とした法律という意味合いをも持つように変化しました。そのような流れを受け、さらに2001年には個人の民事再生手続きも導入されています。

クレジットカードのキャッシングやローン利用、またクレジットカードでショッピングをした個人の情報や利用履歴は、個人信用機関のデータベースにすべて蓄積されています。クレジットカードの新規発行を行なうような場合には、このデータベースを基にして、その人にどれくらいの返済能力があるかという判断が下され、問題がない場合についてクレジットカードが発行されることになるのです。

クレジットカード発行の際の信用調査などに利用される代表的な個人信用情報機関としては、「全国銀行個人信用情報センター」や、「全国信用情報センター連合会」、「株式会社シー・アイ・シー」、「株式会社セントラル・コミュニケーション・ビューロー」などがあります。以前は、特に重要と考えられる事故情報などに限って、それぞれのデータベース間の情報交換が行なわれてきましたが、増加の一途をたどる多重債務を予防するために、そのほかの情報についても各データベース間でつけ合わせが実施されることになりました。クレジットカード会社によっては複数のデータベースから情報の提供を受けてきたところもあったようですが、今後は情報の共有化が進み、ローンカードやクレジットカードなどの発行もより慎重になっていくことが予想されます。

多重債務の問題は、どこかひとつに責任があるというような性質のものではありません。多重債務者がなぜここまで増加してしまったのか、という原因の追及と、その増加を食い止めるためにはどうすれば良いのか、という解決策は、クレジットカード業界のみならず、社会全体で取り組むべき問題といえるでしょう。若いうちからのマネー教育や、金銭管理のカウンセリングといった仕組みも必要となってくるかもしれません。

オンアス取引というのは、クレジットカード業界でよく耳にする用語の一つです。これは、アクワイアラーと呼ばれる加盟店契約会社と、イシュアーと呼ばれるクレジットカード発行会社が同じ会社系列にあるときのクレジットカード決済取引業務のことを差す言葉です。

クレジットカードの契約関係として、それぞれの小売り店とイシュアーとの間に結ばれる加盟店契約があります。さらにアクワイアラーと、カードホルダーと呼ばれるカード利用者との間にはクレジットカードの会員契約があります。加盟店契約と会員契約を取り交わしたこの三者が当事者となって取引をするというのが、よく見られる一般的なクレジットカードの仕組みです。

クレジットカードの会員契約は、立て替え払いを基本とするものです。会員が加盟店でカードを利用した代金を、利用者に替わってカード会社が一括で決済します。この仕組みを債権譲渡と呼ぶこともあります。立て替え払いされた代金は後日、利用者がクレジットカード会社に支払うことになります。クレジットカード会社の発行するカードを持つ会員は、加盟店契約を結んだ加盟店でカードを利用することができます。クレジットカード加盟店は、会員の利用にかかった料金を、後でカード会社に請求することになります。

クレジットカード決済の仕組みの中では、加盟店契約と会員契約がそれぞれ独立して業務を進めるようになってきているようです。オンアス取引は業界で使われる言葉ではありますが、カードホルダーも、正しく安全にクレジットカードを利用するためにはクレジットカード決済で実際にどのようなことが行なわれているかといった程度の知識は持っていた方が安心と言えるかもしれません。

ここでもう一つ、別の用語について見ていきましょう。「インターチェンジフィ」というのは、イシュアーがアクワイアラーから受け取るクレジットカードの手数料のことを差す言葉です。国際ブランドの場合は、アクワイアラーと同じようにイシュアーにもインターチェンジフィが発生することになります。異なる国際ブランド間においてもインターチェンジフィが発生するケースというのもあります。イシュアーとアクワイアラーが同一の系列の場合はオンアス取引となることもあります。クレジットカード会社ごとの契約やシステムによって、インターチェンジフィは違ってくるものですが、基本的には締め日ごとの請求金額により発生する場合と、1件の処理で計算する場合とがあります。



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